ハコダテノヒト11月号~小林恵美子さんインタビュー~

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jam函館、道南便りのページで連載中の『ハコダテノヒト』。
10/20発売の11月号では、チャイルドラインはこだて代表の小林恵美子さんにインタビューしてきました。
今回も、紙面で紹介しきれなかったその内容をココでご紹介したいと思います。

ハコダテノヒト 第十九回…小林恵美子さん
(チャイルドラインはこだて代表)

※チャイルドラインとは、18歳以下の子供なら誰でもかける事が出来る電話のこと。悩み相談から日常の出来事までどんなことでも専門のスタッフが受け付ける。
月~土曜・16時~21時・通話料無料。
木曜のみ0138圏の方にかけると函館のメンバーが対応。
(全国共通フリーダイヤル)0120-99-7777
(0138圏フリーダイヤル)0120-332-565
HP/http://www.h-maneki.net/childline/


(略歴)
小林恵美子…函館出身、市内中学校の養護教諭、54歳。趣味は書道。
16年前に函館の子どもの不登校や教育について意見交流をする『アカシヤ会』を立ち上げる。その後、知り合いにチャイルドラインに誘われ徐々に活動を始め、現在では代表を務めている。

jam(以下・j)「以前にHPの方を拝見させて頂きました。こういった活動をしている方が函館にもちゃんといるんだなと思いまして、いつかインタビューさせて頂こうと思っていました。今日はよろしくお願いします。」

小林(以下・小)
「ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。」

j「さっそくですが、活動歴はどれくらいになりますか?」

「チャイルドライン自体は、実際に子どもの電話を受けるという活動をしてからは12月で丸5年になります。」

j「小林さんは創立の時からずっとチャイルドラインで活動されていたんですか?」

「はい、活動には携わってきました。元々は16年前に、函館の登校拒否を考える親の会『アカシヤ会』を立ち上げてずっと活動していたんです。そして、知り合いの方がチャイルドラインの活動を始める時に一緒にやらない?って誘われたんです。私はアカシヤ会の方もあったのであまり参加出来ないと言ったんですが、それでも誘ってくれたので…。」

j「今もアカシヤ会で活動もされているのですか?」

「ずっと事務局代表をしていたのですが、こちらの活動が多くなってきたのと自分の仕事もあったので、去年からは別の方が務めています。」

j「では、今はチャイルドラインの方を中心に行っているんですね。」

「はい。」

j「函館は他の都市と比べて、チャイルドラインを利用する子どもが多いのでしょうか?」

「立ち上げ当初の頃は、0138圏だけのフリーダイヤルで年間300件くらいでした。他の地域の方から見ると子どもの割合に対して年間300件は多い方じゃないかなと聞いたことがあります。去年の11月から全国のフリーダイヤル(0120-99-7777)で受けるようになり、東北・北海道エリアの電話を受けています。チャイルドラインは全国35都道府県で65団体が活動しています。」

j「チャイルドラインの活動をやってみたい方に講座を開いていると聞いたのですが、その講座が終了した時点で実際に活動を始めるのでしょうか?」

「そうですね。講座受講が終了した時点で審査がありまして、主にロールプレイとかを行います。審査に通った方が『受け手』として活動し始めます。」

j「HPのチャイルドラインのしくみで説明していた運営スタッフについてですが、『受け手』と『支え手』ではどのように役割分担をしているのですか?」

「『受け手』さんは直接電話で子どもとお話をします。その受け手さんが妊娠や虐待などの重たい相談を受けたとき、自分もちょっと気持ちが辛くなってしまうんですよ。そんなときに受け手さんの話を聞いて気持ちのシェアリングをするのが『支え手』さんです。」

j「先ほど頂いた資料の内容別件数についてですが、一番多いのが『人間関係』の悩み相談、その次に『お試し・いたずら』が多いようですが、どういった内容なのでしょう?」

「どんな人が出るのか分からない電話に勇気を出して掛けてきているので、いたずらや無言というのもとっても大事な電話だと思っています。ちょっと冗談を言ってみたり、大人数で掛けてきて「あっ繋がった!」って言って切っちゃったり。そこにきちんと対応することで、次はちょっと話してみようかなって掛けてくれたりすることもあると思います。」

j「実際にかなりデリケートな問題を相談されることもあると思うのですが、言葉なので言ってしまったら取り返しが付かないじゃないですか。そこで『受け手』の方がこれだけは気をつけるようにしていると事はありますか?」

「チャイルドラインは“子どもの力を信じる”というのが基本で、聴くに徹し、指示や説教をしないというのが大前提にあります。」

j「私も以前チャイルドラインを紹介しているTV番組を見たことがあるのですが、たまたまその時に掛かってきた電話で、親がまだ帰って来ていなくて寂しくて電話してくる子どもがいまして、何を話すわけでなくても電話を通話中にして無言でいたり…というのがあったんですよ。たとえばそういった相談に限らず、ただ話相手が欲しくて掛けて来る子もいるんでしょうか?」

「ええ、多いですね。ただ雑談をするだけっていう子もたくさんいますよ。」

j「チャイルドラインは元々海外で始まった活動なんですよね。」

「そうですね。ヨーロッパを中心に1970年代くらいから始まって、日本では1975年くらいにイジメによる子どもの自殺が続いたときに、世田谷の方で『世田谷子ども命のネットワーク』というのが始まったんですが、そこでシンポジウムをしていく内にもっと具体的に子ども達をサポートするために出来ることはないか?となり、始まったんです。」

j「そこから日本各地に広がっていったんですね。」

「はい。世田谷のボランティアセンターにいた5人で始めたんです。今年お亡くなりになった牟田悌三さんという俳優さんと、保坂展人さん、あとは児童館などに勤めていた方達が5人でチャイルドラインの視察をして、世田谷で最初に発祥されたんです。この活動をもっと広めるために支援センターを立ち上げて、今では35都道府県65団体となりました。函館は今から7年前にチャイルドラインが出来ました。」

j「今、函館には何名くらいの方がチャイルドラインにいるのでしょうか?」

「事務局には4人、受け手さんも合わせると全員で21人です。けれどみなさんの力が無いと活動できない状態です。」

j「常にスタッフを募集しているのですか?」

「そうですね。ただ、事務所の場所が非公開になっているので人手は欲しいのですが…なかなか難しいですね。」

j「では、『私も手伝ってみたい』という方がいたら、HPのメールフォームからご連絡すればいいのでしょうか?」

「そうですね。もしくは私の方に直接でも大丈夫です。まず最初に講座を受講して頂くところからスタートですね。」

j「その講座は定期的に行っているんですよね。」

「はい、今年は5月頃から全13回の講座を開いています。」

j「これからの活動で新たに始めたいことなどはありますか?」

「今、函館では木曜日の週1回しか行っていないのですが、受け手さんがもっと増えて開設も増やしていきたいです。ただ、スタッフの皆さんもお仕事や転勤などがあるので今はまだ難しいですが…。財政的にも助成金を頂いたりはしていますが、書類を送っても貰えるかどうか分からない状態で、会費会員になってくれる方が増えるととてもありがたいですね。」

j「これからも子ども達を支えるために、多くの人の協力が必要となってくるんですね。」

「はい。そして、あくまでも受け手になってからがスタートなんです。どんな電話が掛かってくるか分からないので、1本1本丁寧に一生懸命集中して耳を傾けることがスキルアップに繋がります。」

j「そうですね。そこから始まるんですね。」

「ええ。常にスキルを磨くため継続研修というのも2ヶ月に1回くらい行っています。」

j「たとえば、電話の内容によっては警察や児童相談所の方へ相談しなくてはいけない内容もありますよね?そういった場合はどのように対応しているのですか?」

「虐待といったことであれば大人には通告義務がありますが、電話では子どもの向こうにある本当の背景が分からないのですよ。なので、直接掛けてきてくれた子に「児童相談所っていうところにお話しすると、あなたのためにもっと色々考えてくれるかもしれないよ」と、アドバイスをしてます。命に関わるようなことや「妊娠しているかもしれない」という話は聞いてお終いなんて事は出来ませんし…。」

j「チャイルドラインでは橋渡し的な役目もするのですね。」

「子ども自身が虐待だと分からないで掛けてくることもあります。性虐待に関しては特に多いですね。「すごく嫌なことをされるんだ」って言われて、もっと詳しく話してみて?って聞いていくとこれはちょっと…という話もたまにありますよ。」

j「子どもは嫌だなと思いつつも、虐待だという自覚がないのですね。」

「はい。「それは虐待っていうことだから我慢することはないし、あなたが悪いことでもないんだよ」ってまず子どもにお話しして、ちょっとでも自分の力を膨らますことが出来るサポートをしています。」

j「そういった相談も多いのでしょうか?」

「件数はそれほど多くはないですが、深刻な内容のものもありますね。今は東北北海道ブロックで受けているので、北海道以外からの電話もあります。」

j「(資料を見ながら)岩手からの電話も多いんですね。」

「5月のこどもの日を挟んでの『こどもの日キャンペーン』と、これからは『秋のキャンペーン』というのがありまして、そのキャンペーンのときにカードを配布したり各メディアに取り上げて頂いたからだとおもいます。岩手にはチャイルドラインがないんですよ。それで急激に件数が増えたんだと思います。」

j「その秋のキャンペーンはいつ頃になりますでしょうか?」

「11月9日から22日までです。時間は16時から21時まで。全国共通ダイヤル(0120-99-7777)で受け付けます。」

j「相談件数というのは年々増えているのですか?」

「函館で実際に電話を受け始めたのは5年前からですが、最初の3年間は0138圏のフリーダイオで年340~350件、その後、東北北海道エリアで受けたり全国のフリーダイヤルに切り替えたりして件数はかなり増えました。」

j「なるほど、範囲が広くなった分件数も増えたんですね。」

「はい、受話器を置くと直ぐに鳴るような状態です。」

j「子ども達にチャイルドラインを広めるのに、小中高校にカードの配布、HP、各メディアでの告知以外には何か行っていますか?」

「小さなフライヤーを作って学校で配ってもらったり、ポスターを張ってもらっています。」

j「やはりそういったカード配布をした後は件数が増えますか?」

「かなり急激に増えますね。」

j「すぐに効果があるんですね。」

「先ほどお話しした“お試し”で掛けてくる子もいますね。」

j「なんだか分かるような気がします。最初ってやっぱりドキドキするでしょうね。どんな人が出るか分からないですし、だからお試しで掛ける子が多いのかもしれませんね。そういえば、小林さんも『受け手』をご担当されているんですか?」

「今は支え手なんですが、立ち上げの頃は受け手をしていました。」

j「お話しできる範囲でけっこうなんですが、今までに受けた電話で強く印象に残っているものはありますか?」

「そうですね…。私がというよりみんなが受けた中では「性虐待」に関するものとか、「妊娠したかも…」という相談とか、後はやはり「性暴力」ですね。男の子が年上の女性から、逆に女の子が男性からというのが多いです。」

j「函館もまだまだ明るみに出ていないだけで、そういった事件がたくさん起こっているんですね。」

「イジメについてはもっと学校の先生が頑張って欲しいと思いますね。」

j「相談内容で一番多いのは『人間関係』で、その次にその他を抜かすと『イジメ』に関する内容が多いんですね。」

「そうですね、イジメの相談も多いです。」

j「恋愛関係の相談もあるんですか?」

「ええ、「告白したけれど返事もらってなくてどうなんだろう…」とか、他に「お母さんが帰ってこないよ~」って泣きながらの電話で「困ったね」って話している内に「あっ帰って来た♪」と言ってガチャンと切れたり(笑)、かわいいものもありますよ。」

j「かわいいですね~。なんだか和む電話も色々とありますね。」

「掛けてくる子は真剣で、お母さんの帰りが遅くてパニックになっちゃたんでしょうね。けれど、そんな時にチャイルドラインに掛けてくれて嬉しいです。」

j「心のよりどころになりますね。寂しいときにちゃんと話を聞いてくれる大人が電話の向こうにいるというだけで大きな安心感がありますね。」

「そうですね。この活動が子どもの心の居場所になりたいという活動なので、子ども達にはどんどん使って欲しいなと思います。」

j「高校生でも大丈夫なんですか?」

「18歳まででしたら大丈夫です。性的な相談は中学校から高校生くらいの男子に多いです。」

j「チャイルドラインをサポートしていくのに私達が出来ることは何でしょう?」

「やはり人材と財政面でのサポートですね。あとは、実際に電話に出なくても日常の中で子どもの声に耳を傾けてくれる大人が増えるといいなと思います。本当はチャイルドラインが必要ないような社会だといいんですよね。」

j「直ぐ隣に話せる大人が居るといいですね。けれど、そんな信頼できる大人を見つけられない子ども達のためにチャイルドラインがあるんですね。」

「今の社会は個別化というかみんなが孤立している雰囲気がありますよね。自分のプライバシーを人になかなか証せないような感じがします。」

j「昔ほど人との交流が薄れてしまった、よそよそしい感覚ですね。」

「子ども達が孤立しないように、まず社会や大人が気持ちを開いていかなければダメなんだと思います。」

j「受け手や支え手を手伝いたくても仕事が…という方も多いと思うのですが、時々の参加でも大丈夫なのでしょうか?それと、一番電話の多い時間帯とかもあるのでしょうか?」

「はい、チャイルドラインのスタッフには主婦の方や会社員の方もいます。16時から18時と、18時から20時と時間帯を区切って活動しているので、『仕事があるから昼は無理だけど夜なら大丈夫』とか、『小さい子がいるので昼間は無理だけど夜なら出来ます』といった、自分の使える時間の一部で力を貸して頂ければ嬉しいです。掛かってくる時間が一番多いのは16時から17時からとかです。学校から帰ってきて直ぐに掛けてくる子が多いのでしょうね。」

j「すぐに話したいからなんでしょうか?」

「そうですね。最近少ないですが、学校の近くにある公衆電話から掛けてくる子もいました。今すぐに話したくって!ねぇ聞いて!って子がよくいましたよ。」

j「やっぱり女の子の方が多いのかなと思っていたんですが、中高生になると男の子の方が多くなったりするんですね。」

「そうですね。中学生から一気に男の子からの電話が増えますね。」

j「なるほど、悩み多き年頃ですね。今日はお忙しい中お話を聞かせて頂いてありがとうございました。私も色々と勉強になりました。」

「いいえ、こちらこそありがとうございました。」


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