jam函館、道南便りのページで連載中の『ハコダテノヒト』。
7/20発売の8月号では、株式会社 シンプルウェイ・代表取締役の阪口あき子さんにインタビューしてきました。
今回も、紙面で紹介しきれなかったその内容をココでご紹介したいと思います。
ハコダテノヒト 第十七回…阪口 あき子さん
(株式会社 シンプルウェイ・代表取締役)
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(略歴)
阪口あき子…静岡出身。2002年12月、結婚したのをきっかけに、前から憧れていた北海道に移住となり来函。移住してすぐに動画制作・編集の会社を設立。youtubeで一躍話題となった函館のCM『イカール星人』でも有名。
jam(以下・j)「今日はよろしくお願いします。」
阪口(以下・阪)『はい、よろしくお願いします。』
j「阪口さんのご出身は函館ですか?」
阪『いえ、静岡出身です。』
j「こちらに来たきっかけは?」
阪『2002年の12月、結婚したのをきっかけに来ました。もう7年ぐらいになりますね。主人も奈良の出身なのですが、北海道に憧れていたので…。』
j「北海道の中で函館を選ばれた理由はなんですか?」
阪『それは偶然なんですよ。主人が転職した仕事の関係で函館に住むことになったんです。』
j「会社は函館に来て直ぐ設立したんですか?」
阪『はい、そうです。20歳くらいから会社を作ることを考えていたんです。』
j「業種についても元々構想があったんですか?」
阪『いいえ、それは無かったんですよ。とにかく自分の会社を持って、商品やサービスを作り出すことに興味があったんです。今、映像制作の会社を運営しているのですが特に経験があったわけではなく、函館に来てから様々な事業を検討した中で映像関連が良いかなって思ったんです。7年前はまだ映像をインターネットで見ることが出来る環境がちゃんと無かったんです。』
j「あぁ、たしかにそうでしたね。」
阪『その頃はパソコンでもようやく15分程度の短い動画を作ることが出来るようになったぐらいだったんですが、絶対に何年かしたら写真と同じように動画をインターネットで見ることが出来る時期が来るだろうと思って、ど素人でも今始めれば何年後かには何とかなっているんじゃないかなという発想だったんです。』
j「会社を設立した時、お幾つだったんですか?」
阪『29歳の時でした。』
j「シンプルウェイさんといえばやはり『イカール星人』で有名ですので、色々とお聞きしたいのですが…まず、この動画はどういったきっかけで生まれたんですか?」
阪『函館市の『youtubeで函館をPRする観光の動画を30個作る』というコンペがきっかけだったんです。それに応募することになったんですが、その前から函館に移住してきた仲間や、音楽、デザインのお仕事をしている友達と「私達で何か出来たらおもしろいね」って話していたんです。それで、そのコンペを見たときに「これは私達のチームだと、きっとおもしろいことが出来るだろうな」って思ったんです。』
j「まさに良いタイミングだったんですね。」
阪『普通イメージするのは、函館山や西部地区を撮ったりしていかにも観光名所を紹介する動画なんじゃないかな、と思いました。それは、もう知っている人は当然のことですし、知らない人はあまり興味を持たないので、そんな人達が函館に目を向けてくれる映像を私達が作るとおもしろいだろうなって思ったんです。仕事というよりは、チャレンジでした。ある層に特化して話題性を出すという方針で作ります、という案を提出したんです。インターネットってそうですよね?』
j「そうですね。万人受けというものではなく、特定の人達にうけるものですね。」
阪『30本の映像を実際に作ったんですが、その中のひとつがおもちゃデザイナーさんと組んだ『イカール星人』シリーズだったんです。』
j「おもちゃデザイナーの方と作ったものだったんですね。」
阪『そうんなんですよ。他にも写真家の方や建築家の人にアイデアを貰ったものもあったり…。30本の映像を作るにしても、映像制作会社の数人のスタッフで作ると傾向が似てきてしまうので、社外のおもしろい人と一緒にやってみたんです。そうしたら、一番盛り上がっていたおもちゃ制作会社の人と作った『イカール星人』のうけが良かったんです。youtubeをみている人って、比較的30代の男性が多いんですよ。この世代はガンダムとかアニメの戦隊ものが好きな人って多いんですよ。もう少し上の40代にも多いですね。おもちゃデザイナーの人はそういう世界の人でしたので一番当たるだろうなって思っていたんです。それで、色々話していたら市のPRにしては過激なものになっていっちゃって…一時はどうなるかなと思ったんですけれど、市役所や動画の中で壊れる建物の人達に試作品を見せて歩いたらけっこう好評で(笑)。皆さんこの悪ふざけを「いいね~!」って言ってくれたんです。それで日の目を見たんですよ。』
j「コンペはその試作品の前段階で通ったんですね。」
阪『はい、コンペの時点で内容は一切出さなかったんです。youtubeで函館の魅力を伝えるというのは限界がありますよね。限られた人しか見ないですし…。』
j「ええ、そうですね。」
阪『ある層に爆発的な人気が出るようなものを30本作り、テレビや新聞に取り上げてもらい社会的認知を得るというプランと、こんな人達と組んで作りますというリストを出したんです。他の制作会社さん達とちょっとスタンスが違ったのが良かったのか、コンペは無事通ったんですよ。』
j「けれど、それは阪口さんにプレゼン力があったからではないでしょうか?これは10人の内1、2人のコアなファンを見つけようという方法ですよね?なので、プレゼンテーションはかなり難しかったのでは?」
阪『“新しい函館を新しい方法で新しい人達に伝える”というのが趣旨で、そのためにyoutubeというツールを指定されたのですが…否定はしませんがyoutubeだけでは限界があり、社会的認知を得るにはある層に大ヒットして新聞にまで載って、その後どうしていくか…というストーリーがないとダメなんですよね。単純に30本の映像を作ってくれというオーダーだったんですが、私が出したのは段階的に色んな事をやっていこうというプランでしたので、コンペも上手くいったのではないでしょうか。』
j「なるほど。たしかに向こうからの指定がyoutubeですからね…。」
阪『まだ成功にまでは至ってないと思うのですが、マスコミ効果だけで見ると億単位にはなります。けれど、観光客が増えないと意味が無いですし、函館にとって利益がないと意味がないので、今年、来年ぐらいにはその段階に到達できることをやりたいなと思って動いているんです。予算は少ないですが…実は、まだ私の趣味のような状況なんです(笑)。私もそうですが、私の仲間も函館で商売をしていないんですよ。』
j「そうですね。シンプルウェイさんはインターネットで受注したりが中心ですよね。」
阪『はい、ほとんどが本州のお客様なんです。なので、函館の人と関わりがあまりないんですよ。でも『イカール星人』を通じて色々な方と知り合えたり、楽しい体験をさせてもらって、よく「採算あってないんじゃないんですか?」って言われますが、最初からあまりそこは考えないでやってしまっていたという感じなんです。会社としてはよくないのですが…それが寧ろ良かったのかもしれませんね。』
j「“何かを売っていない”というのもよかったと思うんですよ。人は「何か売られているな」と感じた瞬間、構えてしまうじゃないですか。」
阪『そうですね。函館すら売ってないという噂もありますし(笑)。去年の委託費が230万だったんですが、映像を作るだけではダメなので『はこだてCM放送局』というHPをこちらで作ってみたり、市から言われてないことまで色々とやったんですよ。ですが、継続にはなったんですが予算が下がってしまいまして…。後、外からの期待感もあるんですよ。さっきお話していた“売っていない“というのなんですが、さすがにスポンサーがいないと…。半年くらいなら私たちも仕事の傍ら出来るんですが継続していくことを考えないと、せっかく生まれたキャラクターも無くなってしまうので…。』
j「う~ん。そうですよね。」
阪『東京の会社からグッズを出しませんか、と話があったのでロイヤリティー的には多くもないですが、市民の認知を得たりも出来ますしね。後、企業さんとのコラボも進めているんです。』
j「そうですね。もし僕が会社を経営していたら、うちの会社も壊して欲しいです(笑)。」
阪『そうなんですよ。そういう依頼もあります。映像の中でコラボするのもありますし、武田食品さんのCMにイカール星人が出演して「おいしい塩辛を作らないと街をこわしてやる~!」というような感じのも…(笑)。7月にはサッポロビールさんが行うビアガーデンでイカール星人がサッポロビールを飲んだくれているという映像も…。』
j「(笑)おもしろいですね!」
阪『色々なコラボレーションをして地場企業さんがイカール星人を使うことで売り上げが上がり、観光客や市民の認知を得て、それで私達もこの仕事をせっかくなので続けていきたいんですよ。函館を全国に広めるときにおもしろく伝えられて楽しいと思うんです。函館の対外的なイメージって「函館は綺麗で、歴史もあって…」で、ちょっとオシャレして出かけなきゃってイメージだと思うんですよ。それはそれでいいんですが、もっと気楽に遊びに来ることが出来るイメージを出したいんです。』
j「大門が全盛期の時は、函館にもそんな猥雑さがありましたね。」
阪『そうですよね。港町の活気もあったはずなんですよ。けれど、本州の方で出版されている観光雑誌では“綺麗”路線ばかりなんです。観光客を増やそうとしたら、もっと違う層も取り込まないとですよね?』
j「ええ。」
阪『食べ物も美味しいし、何だか楽しいし、温泉もあるし…。あ、温泉って以外と知られていないですよね。その辺のことをイカール星人や、はこだてCM放送局で伝えていけたらいいなって思います。』
j「函館というと『異国情緒あふれる街並み』、『夜景の街』ってイメージですよね。」
阪『ある具体的な目標があって、函館に行こうって感じだと思うんですよ。函館は実際に住むと居心地も良くて癒し感、リラックス感、ちょっとふざけた感じがあるので…。イカール星人に限らず、他のものも今までそういう路線でやってきたんです。そうしたらふざけたものばかりになっちゃって…(笑)。今年はもっと王道的なのものも作ろうかと思っているんですが…。』
j「函館開港150周年記念の活動とコラボレーションはしているのでしょうか?」
阪『イベントでのグッズ販売をする予定です。イカール星人を認知して貰うには何年もかかかってしまうと思います。150周年がたまたま今年だったのであまりコラボは出来なかったんですよ。この前、JRや新宿のアルタビジョンでイカールの動画を流したのですがその時は函館開港150周年をアピールさせて頂きました。ちなみに、このイカールをデザインした人は150周年のキャラ『ペロリ君』をデザインした人なんですよ。』
j「あ、同じ方だったんですか!」
阪『そうなんですよ。彼は元々函館の人ではないんです。2つのキャラクターの作風がかなり違うんですが、同じ人なんですよ~。』
j「てっきり函館のデザイナーさんかと思っていました。」
阪『今は函館に住んでいますけれどね。函館が好きで東京から移住してきたんです。』
j「あ~嬉しいですねぇ。」
阪『ええ。函館ってけっこうそういう方多いんです。魅力がある街なんですよね。何年か住むと、「うまく函館をPR出来ないかな~」って移住者はみんな思い始めると思うんですよ。』
j「他から来ると、函館は良くも悪くも隙が多いというか…穴があったりするのが分かるので…。ずっと住んでいるとなかなか気付かないんですよね。さっきお話していた、“温泉が本州の方で有名じゃない”っていうのも函館の人は気付いていないですよね。」
阪『私は初めて函館にきたときに「えっ温泉があるんだ」って思いました。それぐらいの認知度なんですよ。あと、イカール星人を作るときにも言っていたんですが、誰も函館がイカの街だって知らないんです。実際、本州の人は全く知りません。さらにはイカが美味しいって感覚があまり無いんですよね。』
j「そうらしいですね。」
阪『本州だと真っ白でゴムみたいなイカを食べているんです。本州の人にストレートに「函館はイカが美味しいんです!」って言っても伝わらないんですよね…。なので、最初のイカールネタ出し会議の時も「イカが美味しい」っていうのだけはやめようってなりました。それが発展して宇宙人になっちゃったんですが(笑)。』
j「イカが身近な食べ物なので、函館の人はあまり自覚が無いと思います。地元人にとって観光客の方はイカを食べて夜景を見に来ているってイメージしかないですね。」
阪『実際、目的にはなっていないですね。夜景は人気がありますけれど…。ついでにイカも有名らしいから食べてみようかなっとなって、その出てきたイカにビックリするんですよね。』
j「言われてみればイカって地球外生物な感じがしますね(笑)。」
阪『そうですね。イカをキャラクター化したかったんですよ。透き通った感じも出したかったんで、イカール星人は朝市でイカを買ってきて写真を撮ってCGにしたんです。あれはデザインというより本物のイカなんですよ。』
j「おぉ、そうだったんですか。」
阪『五稜郭タワーは、デザインした彼の話だと何年も前からタワーロボに見えていたらしいです。私は「う~ん…」って思ったんですが(笑)、実際作ってもらったら「たしかに…」って思いましたね。』
j「五稜郭タワーのマスコットキャラ“GO太くん”とは全く違うキャラクターですよね。」
阪『“GO太くん”は一般公募だったんですけれど、実は彼、その時にタワーロボを出したそうなんです。そうしたら、プロなのに落ちちゃって!(笑)リベンジだって言ってました。もちろんタワーの方とは仲良しなんですが、着ぐるみに出来るかっていうのが一番最初の選択肢にあったらしく、「タワーロボはちょっと着ぐるみ化が…」って話してましたよ~。』
j「(笑)いやぁ~おもしろいですね!“GO太くん”はかわいいですがタワーロボもかっこいいですよ!」
※この辺で8月1日から発売されるイカール星人グッズを色々見せて頂く…。
j「これ良くできてますね。あ、タワーロボかっこいい!タワーロボの買いますよ!」
阪『実はゴリョウカクにはちゃんと奉行所もついているんですよ。』
j「わ、本当だ!真ん中にちょこんと…。すごい!」
阪『CGはかなり作り込んであって、映像に出ていない部分もいっぱいあるんです。たとえば、ゴリョウカクにも本当はコックピットがあって土偶が運転していたり…。』
j「えええ!そうなんですか。細かいですね~。」
阪『今回、土偶はキャラクターグッズ化されなかったんですが…。』
j「でも、キャラそれぞれが立っていますし、これはDVD化に出来ますね。ノーカット版とかで…。」
阪『そうですね。実は新キャラも考えているんですよ。楽しみにしていて下さい!』
※この辺でちょっと内緒な、制作秘話やこれからのキャラについての構想案も聞かせていただきました!
j「グッズ販売は市内のお土産屋さんになるんですか?」
阪『はい。主に市内で、札幌にも少し置かせて頂く予定です。五稜郭タワーや函館空港、函館山山頂の売店で販売することは決定しています。』
j「8月1日から一斉販売になるんですよね。」
阪『そうです。HPでも8月1日から売る体勢なんですが…売れるかなぁ~??(笑)おもしろそうなのでやろうとは思っています。』
j「こうやってまじめな会議ではなく、ちょっと悪ノリな何気ない会話から生まれるものもあるんですね。」
阪『そういえば、函館名物の“イカ踊り”もそうだったらしいですね。』
j「えっそうなんですか?」
阪『そうらしいですよ。イカール星人もイカ踊りのようになってくれればいいんですけれどね。そんなに長いものにはならないかもしれないですが、続編は今年中に出来る予定です。あと、イカール星人に出てきた観光名所を紹介する動画を作成中で、この夏には公開します。公式サイトで新情報を発表していきますので、チェックしてくださいね!』
j「個人的には、色んな人が「えっ!?」って言うような方向にはじけていって欲しいと思います。」
阪『そうなんですよ。私達も楽しくその方向でやっていきたいと思っています。』
j「これからも頑張って下さい!今日はたくさんのお話を聞かせて頂いてありがとうございました。」
阪『いえいえ、こちらこそありがとうございました。』
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※このエントリーは「函館情報市場『ハコイチ!』」が行っています。
