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jam函館、道南便りのページで連載中の『ハコダテノヒト』。
6/20発売の7月号では、函館バウハウス工房所属・陶芸家の石川久美子さんにインタビューしてきました。
今回も、紙面で紹介しきれなかったその内容をココでご紹介したいと思います。
ハコダテノヒト 第十六回…石川 久美子(いしかわ くみこ)さん
(函館バウハウス工房所属・陶芸家)
↓続きは下をクリック↓(略歴)
石川久美子…函館出身、陶芸家。97年、前から興味のあった陶芸教室の記事を見たのをきっかけに佐藤留利子先生に師事。01、03年に日本現代工芸美術展入選。03年匠展会員。現在もバウハウスにて教室の講師を務め、新たな作品を制作中。
jam(以下・j)「今日はよろしくお願いします。」
石川(以下・石)『はい、こちらこそよろしくお願いします。』
j「以前、佐藤先生とイタリア、ドイツに訪問されているそうですが、それ以降も海外の作品などを見に行かれているんですか?」
石『いえ、行ってないですね。ひたすら制作して発表していました。』
j「最近はどのような活動をしているのですか?」
石『はこだて工芸舎で常時個展を開催しています。他には、BAYはこだてに新しくできたギャラリーで大きいオブジェなどの作品を展示したり、昨年函館美術館で行われた『トンちゃんアート展ハコビでBOO!!』でブタをテーマにした作品を4点展示しました。』
j「ハコトリにも携わっていると聞いたのですが…。」
石『はい。ハコトリはそれぞれ色んな事をやっている人達が集まって活動しているんです。私もその中のひとりなんです。』
j「そうなんですか。色々な活動をしている人の集まりなんですよね。」
石『はい。あと、昨年開催したのですが、本町にあるお寺でフラワーアレンジメントの方と書道家の方と3人で風月花というユニットを組んで作品展をしたり…。』
j「あ、書道家は長谷川青穂さんですよね?」
石『そうです。あれは毎年やりたいねって話していたんですよ。今年はいつになるか分からないんですけれど…。他にもハワイ在住の版画家の方と一緒に展示会もしました。他のジャンルの方と一緒にお仕事もしているんです。』
j「陶芸という枠にとらわれず、異なるジャンルの方ともご一緒に活動しているんですね。」
石『はい。去年は函館と青森の作家と交流する展示会も行いました。』
j「かなり精力的に活動されているんですね。石川さんは陶芸を始めてどれくらいになるんでしょうか?」
石『24歳くらいから始めたので、11年ですね。』
j「きっかけというのは、たまたま陶芸教室を見つけたからなのでしょうか?」
石『仕事を辞めて函館に帰ってきたとき、何か趣味を始めたいと思って色々探したら“はこだて工芸舎がオープンする”という記事を見つけたんです。そこで教室も開催するとあって、私自身も陶器を見に行ったり買ったりとかしていたので、「自分でも作れるのかな」って思ったことがきっかけですね。』
j「元々、陶器などが好きだったんですね。」
石『はい。たまたま習い事をしたいと思っていたので…。そして佐藤先生の教室に入ったんです。やっているうちに、もっと色々なものを作ってみたいと思い始めたんです。でも、週に1回2時間の教室だけだとあまり作れないので、自宅でも作るようになったんです。最初は作りたいものを作って、「かわいく出来たな~」って喜んでいる程度だったんですよ。(笑)』
j「では、初めて展示会で入賞したときはどんな気持ちでしたか?」
石『小さい頃に絵を描いて表彰されたときの「嬉しい!」という気持ちが蘇りましたね。』
j「その初入賞の時の作品はどんな作品だったんですか?」
石『約60cmくらいの大きさの四角いオブジェでした。』
j「作品を作るときに何度も試行錯誤して、それでも失敗してしまったり…といったこともあるのですか?」
石『作れば作るほど失敗します。残骸がその辺にいっぱいありますよ(笑)。陶芸は粘土で作って外で乾燥させるんですが、そのときに亀裂が入ることもあるんです。また粘土に再生できればいいのですが、さらに2回焼くので、その時にヒビが入って失敗することもありますし、色をつけたら出来上がりに変な色になってしまって失敗とか…。思い通りにいかないことが多いですね。』
j「頭の中のイメージを形にするのはすごく難しいと思います。製作するとき、きちんと思い通りにならなくてもどかしいとこともあると思うのですが、出来た作品はそのイメージを再現できたものになるんでしょうか?」
石『再現出来るときもあれば出来ないときもあります。出来ないからまた作りたいと思えますね。』
j「陶芸というとやはり最初に思い浮かぶのは食器類になるんですが、石川さんはオブジェやトンちゃんアート展の時のブタちゃんなど様々なものを作っていますよね。最初はまず食器類から初めて、やがその他の作品へと自ら制作の幅を広めていったのですか?」
石『私も最初の頃は、陶芸とは器や花瓶のような日常に使うものを作るんだなって思っていたんです。けれど、佐藤先生の作品を見ているうちに「あぁ、色んなものを作れるんだな」って思ったんですよ。はこだて工芸舎の作家さんも色々な作品を作っていますよね。それで、「陶器で作れるものは作ればいいんだ」と思って、様々なものにチャレンジし始めました。最近では陶器の動物も作るようになったり…。むしろ、器じゃないものを作りたいと思い始めているかもしれません。』
j「器じゃないものというと、自由の幅が広い分、難しい幅も広がると思うんですが最近はそういった方向にチャレンジされているんですね。」
石『いっぱい作っているうちに、だんだん自分の好きな形になっていくんですよ。』
j「それぞれの作品に思い入れやエピソードがあると思うのですが、一番印象に残っているものはありますか?」
石『大きい作品だと1ヶ月とか時間を掛けて作っているので、その作品を見ると夜通し作ったこととか工程の合間にあったことを思い出しますね。』
j「たとえば、決められたものを作る場合と自分の作りたいものを作るときではどっちが楽しいですか?」
石『やっぱり、自分の作りたいものを作る方が楽しいですね。』
j「ご自宅で使われている食器も、やはり自分で作られた器を使っているのですか?」
石『自分で作ったものは半分くらいですね。あとは気に入った作家さんのものをいっぱい買うので…。旅先でも気に入ったものがあれば買っています。使いながら、「こういう風に出来ているんだ」とか発見があるんです。そうやって他の作品から教えられることもありますね。』
j「やっぱり使ってみないと分からないものなんですか?」
石『そうですね。あと、愛着も湧いてきますし。』
j「今はどんな作品に取りかかっているのですか?」
石『夏に東北と札幌で作品の販売をするの予定なので、それに向けて制作しています。涼しさを感じる作品ということで、ペンギンの貯金箱を作っています。』
※ここで制作途中のペンギン貯金箱の写真を見せて頂きました。
j「かわいいですね~!出来上がりが楽しみです。」
石『こんな感じで、飾っておきながらも使える作品を作っています。手作りなので顔も色も全部違って、同じ物は一つも無いんです。』
j「たしかに手作りの作品を買うときは、表情とかを見ますね。ひとつひとつが違った顔をしているので、その中から気に入ったものを選んでいます。選ぶ楽しさも手作りならではの良さですよね~。」
石『最近は福を呼ぶアイテムの注文を頂くことも多くなりました。ブタもそうですよね。ヨーロッパや中国では幸せを呼ぶとされていて、プレゼントにしたり飾ったりしているそうですよ。』
j「そういえば、3本足のブタとかありますね。フクロウも福を呼ぶと言われていますよね?」
石『そうですね。そういった風水的なものを作ったりもしています。』
j「たとえば、こちらのペンギンはどれくらいの数を作るのですか?」
石『数が多いので、今は15個ぐらいづつ作って全部で60個は作る予定なんですが…ずーっと同じもの作っていると飽きちゃうんですよ(笑)。ある程度作ったら別なものを作って、また戻って…と作業しています。』
j「これはロットナンバーを入れるのですか?」
石『そうですね。入れたいなと思っています。』
j「そうするとおもしろいですね。1番と最後の方の60番だとかなり顔が変わってきていたり…(笑)」
石『そうですね~(笑)変わっていくと思います。小さなブタを作ったとき、番号を入れていたんですよ。だんだん形も顔も変わってきますし、大きさも変わったりとかしますね。あと、私が作っているシリーズでもカラフルだったり白っぽかったり…色んな柄や色があるんですが、それによって動物もガラッと変わったります。たまたま本を見ていていいなって思った柄は、すぐその場でメモに描いちゃったりもしています。』
j「先ほどのペンギン貯金箱のように、たくさんの数を作っていると失敗作もある思うのですが、だいたい何個くらいの割合になるんですか?」
石『このペンギンは、比較的亀裂が入りにくい形なんですよ。』
j「形も関係あるんですね。」
石『丸いものは亀裂が入りにくくて、角張っていると角の方から亀裂が入りやすいんです。ペンギンでは今のところ1個も失敗していないですね。けれど、形によっては亀裂が入ったりして全滅することもあります。』
j「うわぁ~…ショックですね。」
石『もしそうなったら、どうして亀裂が入ってしまったのか?亀裂が入らない方法は何か?と、模索しながらまた作ってます。』
j「熱の入り方に原因があるんでしょうか?」
石『乾燥の仕方ですね。』
j「焼く前の段階のですか?」
石『そうです。乾燥するときに亀裂が入ると、もうダメなんですよ。後は、色が思った様に出なかったり…。最後の窯を開けた段階で失敗、ということもあります。』
j「個人的に興味があるんですが、完成した段階で色が気に入らなかったりすると、「なにさ!」ってガチャンと叩き割ってしまったりとかあるんでしょうか?(笑)」
石『あぁ~…。私はこっそりゴミ箱に…(笑)』
j「(笑)でも難しいですね。焼き上がってみないと色の仕上がり具合が分からないというのは、やっぱり経験を積むしかないんですよね。」
石『同じものを作っていても同じ色を使っていても、ちょっと気が焦って塗る工程を早めにやめちゃうと、もうそれだけで色が変わってしまいます。焦るとダメなんですよね。』
j「少しでも手を抜くことが出来ないですね。」
石『そうなんです。』
j(ノダケン)「僕、家で飲む焼酎の器をちょっと作ってみたいと思っていたんですよ。」
石『けっこう皆さん作っていますよ。私は、焼酎を寝かせておく瓶とか作りました。』
j(ノダケン)「あぁ~。いいですね。」
石『美味しい水と焼酎を先に割っておいたものを寝かせておくんです。』
j「美味しくなるらしいですね。」
石『1ヶ月ぐらい置いておくといいそうですよ。』
j「こちらの工房は体験や1日コースもやっているんですよね。」
石『作るだけというのも出来ますし、その後にまた来て頂いて、焼いたり色を付けたりも出来ます。』
j「事前に予約しておけばいいのでしょうか?」
石『人数が多い場合は予約して頂いた方がいいですが、教室をやっているときであれば気軽に来て頂くだけで大丈夫です。』
j「用意してくるものってありますか?」
石『特にないですね。手ぶらで大丈夫です。もし自分のエプロンが使いたければ持参して頂ければ。こちらでも用意していますが…。』
j「そんなに身軽に出来るんですね~。」
石『火・金は朝9時半から夜21時までやっているので、その時間内ですと出来ますよ。』
j(ノダケン)「ちなみに、いきなり来て「焼酎のグラスが作りたいです」って言っても作れるのでしょうか?」
石『あ、出来ますよ。グラス2つは作れます。おつまみを入れるお皿を作る人もいますよ。』
j(ノダケン)「おお~。いいですね。」
石『陶芸は、作っているとちょっとづつ形が小さくなっていくんですよ。外に干して水分を抜くと少し小さくなって、その後2回焼くとさらに小さくなるんです。色も同じで、焼くとかなり雰囲気が変わったりしますね。だから陶芸はおもしろいんだと思います。』
j「では、トンちゃんアート展に出品したあのブタちゃんも最初はもっと大きかったんですか?」
石『はい。10cmくらい小さくなりましたよ。』
j「えっ!そんなに縮むんですか?」
石『大きければ大きい程変わるんです。形が歪むこともありますよ。』
j「では大きいものの方が難しいんですね。」
石『中が空洞だと、上の部分が窪んでしまったりとかありますね。急激に変形するわけではないんですが、ちょっとずつ小さくなっていってしまうんです。』
j「これからの個展や展覧会の予定は?」
石『7月15日から札幌の丸井デパートの催事場で行われる販売会に出品します。それと、6月末に岩手で公民館を改築してギャラリーを運営している方がいるのですが、そこで先生と2人展を。その後、弘前のカフェギャラリーで地元の作家さんと2人展を開催します。その弘前の方は去年の青函交流展にも参加されていた方なんですよ。その後は、秋田のトンボ玉を制作している作家さんとの2人展…。』
j「6月頃からずっとお忙しいんですね。」
石『そうですね。その後も、札幌の市民ギャラリーでオブジェばかりを集めた『日本現代工芸美術展』というのに参加したり、8月に小樽のギャラリーで作品展をします。』
j「ちょっと話が変わってしまうのですが、作っているうちに「これちょっと売りたくないな…」ってものも出てくるんでしょうか?」
石『ありますね(笑)。そのときにしか作れないものもあるので…。』
j「なるほど。たしかにどうしても手放したくないお気に入りってありますよね。では、これから作ってみたいと考えているものはありますか?」
石『そうですね…。ひとつの部屋を自分の作品でコーディネートしてみたいです。ランプだったり、色んなものを作ることが出来ますので、住宅展示場のような感じのところでやってみたいと思います。空間デザインの世界になると思うのですが…。いつかやってみたいですね。』
j「すると、他のジャンルにもチャレンジしていくことになりますね。」
石『そうですね。どんどんやってみたいです。他の素材も使ってみたいと思っています。今は粘土だけですが、他の素材を使うことでまた幅も広がっていきますし、金属とか、ガラスとか…そういったものも出来たらいいなと思います。』
j「陶芸家という職業は芸術家に分類されるのか職人に分類されるのか…どちらだと思いますか?」
石『同じものをたくさん作って、同じような仕事をずーっと続けていく方は職人なんだと思います。私はあれこれと好きにやってしまう方なので…芸術家の方になりたいと思っています。けれど、作品の使い勝手が悪いのもダメだと思いますね。』
j「デザインと使いやすさの両立というのは難しいですね。」
石『結局、最終的には作りたいものを作っているという感じなので…私は“職人”ではないと思います。』
j「そうですね。これから石川さんのさらなる活躍を応援しています。今日はたくさんのお話を聞かせて頂きありがとうございました!」
石『いえ、こちらこそありがとうございました。』
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※このエントリーは「函館情報市場『ハコイチ!』」が行っています。
